世界中のLOVIN' YOU


ミニー・リパートン「LOVIN' YOU」(1975)。この曲には、こんなエピソードがある。

アルバムには、ミニーが彼女の子供たちを寝かしつけるときに必ず聴かせていた曲を収録しようと決めていた。その曲のレコーディングを改めて行ったが、いつも子供たちの傍らで聴かせているときのようなニュアンスは、そこには描ききれていなかった。何かが足りなかった。何度もアレンジを施した後、ミニーとリチャードが導き出した結論は、イントロダクションに小鳥のさえずりを封入することだった。子供たちが眠りにつく際のシチュエーションを、そのまま再現してみようということから生まれた発想だった。僅かな工夫だったけれど、そのひらめきは、曲に新しい命を注ぎ込んだ。*1

この翌年、彼女は乳ガンを患い乳房を切除する。しかしポジティブに活動しつづけ、乳ガンの知識・早期治療についても訴え続けたという。78年、ガンの転移が見つかり、翌79年、アルバムセールスも好調のなか、最愛の夫と子どもたちに看取られて亡くなった。

誰にでもあるような、ある日ある晩に、親密な時間とともに子供たちのために歌われていた歌が、彼女が世を去ってから30年経ったいまも、世界中の人々によって歌われて続けている。彼女の子供たちを愛する想いが、いまもいろんな人の元へ届き続けている。いろんな動画を見ながら、ただ、ただ、その事実に心を打たれてた。命日でもなんでもないんだけどね。

いい歌って、こういう歌のことをいうんだろうな。

Cause lovin'n you has made my life so beautiful
And every day may life is filled with lovin'n you







*1:『Free Soul the classic of MINNIE RIPERTON』より