熊谷守一/「へたも絵のうち」

もう二十年も前、七十いくつかのときのことです。(p.41)

おぼれているとき、ひどく忙しかったことを覚えています。「こんなに忙しいのは生まれて初めてだ」と、おぼれながら思ったものでした。結局、まだ死にたくないから忙しかったのですが、助けてくれた人は、私のおぼれ方は上手で、助けやすかったそうです。(p.115)