若いふたり

朝、通勤のために家から駅まで歩いていく途中、いつもの若いカップルを見かける。お互い20代後半くらいで、彼氏のほうは少し鄙びたスーツを着ているが背が高くてスラッとしていて、よく笑っている。彼女のほうはいくらか少女趣味が伺えるものの基本的にはコンサバティブな格好をしており、まだ髪の毛が乾かないうちに家を出る時間になってしまうのか、パーマをかけた髪の毛はいつでも湿っている。そんなふたりが、雨の日はそれぞれに傘を差しながら、晴れの日は手をつなぎながら、駅の方向へ歩いていく。

ふと、あれは僕だったんじゃないかと思った。いつか彼らが結婚し、子どもを産み、老いてどちらかが先立ったとき、いま僕が見ている、かつてあったこのある朝の光景を、残ったほうの一人に見せてあげたいと思った。

というか、すっかり秋だねー。